そこぬり

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【ネタバレあり】Netflix『ウォーマシン:戦争は話術だ』は一風変わった戦争映画だった

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Netflixで配信されているオリジナル作品『ウォーマシン 戦争は話術だ』を鑑賞しました。

あのブラッドピット主演。Netflixでしか見られないオリジナル作品のレビューです。

ネタバレがありますのでご注意ください。

『ウォーマシン:戦争は話術だ』とはどんな作品?

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アフガニスタン戦争を舞台に繰り広げられる戦争映画。原作はノンフィクション本『The Operators』です。ネット配信作品にも拘わらず予算は6000万ドルと言うのだから驚きです。

ブラッドピットを主演に迎えた戦争映画。しかし、戦争映画らしい戦闘シーンはほぼなく、終始会話劇が展開される異色の戦争映画です。

アフガニスタン戦争へ新たな司令官として赴任したマクマホン大将(演ブラッドピット)が交渉で戦争に勝利しようと画策します。そこに暗殺などの謀略的要素はなく、本当に会話だけで構成されています。

予想を裏切る物語

副題の『戦争は話術だ』から交渉能力を駆使し戦争で優位に立とうとする…。
そんな物語を展開していたのですが、実際にはそういうことはなく、マクマホン大将の発言がことごとく悪い方向へと転がっていきます。

戦争に優位どころか状況は悪化していきます。
戦争に勝利した勇敢な男の物語、かと思いきや実は転落劇なのがこの作品の真相。
『話術』ではなく『口は災いの元』だと教えてくれる作品です。

しかし、副題を意識しすぎたせいかやはり期待外れな感じが否めません。
巧みな交渉能力は一切感じず、マクマホン大将の尊大さと優越さの転落を見せつけられる少し切ない作品に思えました。

風刺なのかエンタメなのか…?

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この作品はアメリカ合衆国という国家をマクマホン大将に投影していると言えます。
マクマホン大将は終始尊大で「自分は全て理解している、すべて正しい」と言わんばかりの態度です。

マクマホン大将の態度はまさにアメリカ合衆国が無意識のうちに振りかざしている尊大さと優越性そのものだと言えます。

アメリカは様々な戦争に介入し、如何にして自分たちが正義であるかを振りかざしてきました。

これまでの国家対国家の戦争であればアメリカ流の正義を押し通せたのですが、対テロ戦争だと全く違います。正義が通用しないのです。

往来通りの正義を振りかざしても、アフガンではそれが正義ではなくただの押し付けと自己満足でしかない。

本作はアメリカの虚構的な正義をマクマホン大将に投影して描いているのです。

しかし、風刺なのかエンタメなのか、どちら側にスタンスを置きたいのかがいまいち汲み取れませんでした。
なんだか、中途半端な感じに仕上がっているので非常に勿体ないです。風刺なら風刺に振り切れていたほうがより楽しめたかもしれません。

まとめ

なかなか面白い作品ですがどっちつかずな感じは否めないです。
戦闘シーンを求める人には向いていません。激しい戦闘は皆無なので…。
戦争における正義とは何か、アメリカとは何かを問いかける佳作でした。

(アイキャッチ出典:https://www.youtube.com/watch?v=F5hrt15YpEo