そこぬり

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【ネタバレあり】『ハクソーリッジ』レビュー、これは信念を貫く青年の物語

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上質な戦争映画。
しかし、異質な戦争映画でもありました。

『ハクソーリッジ』にはしっかりと戦争が描かれています。

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銃を持たずに戦う青年

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敬虔なキリスト教徒である青年のデズモンド・ドスが主役です。
彼は信仰故に殺人ができない。戦争で人を殺すことが出来ないのです。

しかし、彼は戦わないという選択をすることはしなかったのです。
銃を持たずに戦うと決意します。

銃を持たず、衛生兵として戦場に身を投じると決意したのです。

しかし、衛生兵であっても銃の訓練は必須。彼は訓練で銃を持つことすら拒否します。拒否し続け、仲間から疎まれる。それでも銃を持たないという信念を貫き通すのです。

銃を持たずに戦うという軍人にとっては異質すぎる行動。

銃を手に戦うことで国と人を守るのが軍人の正義。しかし、デズモンドはそれに真っ向から反するような行動をとるのです。

銃を持たずに救うことを貫く青年。それこそが彼の正義なのでしょう。
正義とは何なのか。銃を手にすることも、救うことも正義。この作品は正義と言う物は一つではないと言うことを知らしめてくれます。

徹底したゴア描写

デズモンドの行動がどれほど異様で異質なのかを深く理解させるのが徹底したゴア描写です。

戦争映画なのですから、手足が飛ぶ、胴体が真っ二つになるという描写は平然と盛り込まれています。
蛆や鼠が死体を食い荒らしていたり、血が噴き出すというのもあり、人によっては嫌悪感を抱くでしょう。

しかし、この徹底さこそが戦争の狂気を色濃くさせています。
これが戦争。そのような地獄の中でデズモンドは救い続けるのです。

味方も敵も救ってしまう。しかし、彼は地獄の中に現れた天使というわけではないのです。
彼もまた人間であり「どうかもう一人救わせてください」と願い続けることで自分を奮い立たせるしかないほどなのです。

まとめ

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この作品は貫く映画です。
信念を貫き、戦場の描写にも妥協しない。信念を貫き通しています。

戦争とは何か、正義とは何か。それを真摯に見つめ直せる作品になっています。

(アイキャッチ出典:http://www.indiewire.com/2016/09/mel-gibsons-hacksaw-ridge-venice-film-festival-review-1201723095/